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THE EUROPEAN JOURNAL

凱旋門賞

2020.10.05 THE EUROPEAN JOURNAL

在仏記者・沢田康文氏による海外馬情報のコラムです。

凱旋門賞でジャパンに騎乗するため武豊騎手は先週の1日にフランス入りされました。「まずはホっとしていますが、今は大変な世の中ですから、これが凱旋門賞でなければ海外に渡航することはなかったと思います。様々な思いを背負って、いいレースをしたいですね」と決意を話されました。

翌日にはサンクルー競馬場で行われた準重賞ダリア賞でキーファーズ所有のアマレナに騎乗。昨年のディアヌ賞以来となる久々のコンビでしたが、人馬一体の走りで後続を引き離して、見事に5馬身差での勝利を収めました。「今後は重賞でも楽しみな馬ですし、勝ちたいと強く思っていましたから嬉しい勝利です」と武豊騎手の表情には笑顔が見られました。

この日の夜は小さな祝勝会となりましたが、そのさなかにクールモアからゲイン社の飼料に禁止薬物が混入されていたとの一報がありました。この段階では検査結果が土曜日の夜に判明するとのことで、とにかく無事に出走できることを祈っていました。

翌日、3日のパリロンシャンでは最終レースでマジックソングに騎乗。オリビエ・ペリエ騎手の長女メーガン・ペリエ騎手との同厩舎・同馬主での2頭出しで初めての共演になりました。馬場について武豊騎手は、「不良馬場でしたが、発表ほどひどい馬場とは感じませんでした。改修直後の2年前と比べてロンシャンの芝は整備がされてすごく良くなっています」と語っていました。

この日の夜の食事中、21時過ぎにジャパンの出走回避の連絡がエイダン・オブライエン調教師から入りました。「最後まで出走に向けてベストを尽くしたが、松島オーナーと武豊騎手、ファンの方に申し訳ない」この日の尿検査でジャパンを含む凱旋門賞に出走予定の4頭が陽性反応となり、翌日に陰性になることが100%保証できない以上、どうしても出走はできないというのがエイダン・オブライエン調教師及び主催のフランスギャロの判断でした。

武豊騎手は気丈にされていましたが、かける言葉はとてもありませんでした。食事にはフランスで開業する小林智調教師も同席して、あぶみやハミの話、調教やレースの深い競馬談議が続き、武豊騎手は翌日に同い年で互いを認め合うエイダン・オブライエン厩舎の馬に初騎乗することを本当に楽しみにされていました。日本時間の朝になり、クールモアと松島オーナーは「この悔しさを必ず喜びに変えよう」と話され、再挑戦を誓い合いました。

翌日、武豊騎手はパリロンシャン競馬場に出向き、第99回凱旋門賞を現地観戦されました。競馬場に向かう直前には、エネイブルのL・デットーリ騎手から武豊騎手の携帯電話に直接メールが届き、そこには取り消しを気遣う文面が綴られていました。 C・デムーロ騎手とソットサスが優勝したレースを武豊騎手は4階のスタンドから見守られました。凱旋門賞制覇の夢は来年に続きます。

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